法人サイバー保険の相場はいくら?保険のプロが解説

法人サイバー保険の相場はいくら?保険のプロが解説

法人向けサイバー保険の相場を調べると、思ったより安い例もあれば、かなり高い例もあって迷いますよね。

実際、サイバー保険は一律の価格表がある商品ではなく、売上高、業種、補償内容、セキュリティ対策の状況で大きく変わります。

この記事では、公開されている保険料例をもとに、相場の目安、価格差が出る理由、相場だけで決めないための見方までわかりやすく整理します。

この記事を3行で解説
  • 法人向けサイバー保険の相場は、一律ではなく条件でかなり変わります。
  • 一般業種の基本補償中心なら年6万〜20万円台前半が入口になりやすいです。
  • IT業務や利益損害特約まで入れると、数十万円から数百万円台まで上がります。
記事の筆者
保険アドバイザー

【保険コンサルタント:長谷川】
保有資格

  • 損害保険募集人資格
  • 生命保険募集人資格
  • 損害保険大学課程資格
  • FP2級

保険業界歴12年、火災保険取扱件数2,000件、保険金の請求対応の顧客満足度98%

目次

法人向けサイバー保険の相場はどれくらいか

これから法人向けサイバー保険の相場はどれくらいかについて解説します。

  • 公開されている保険料例から見る年間相場
  • 月額換算で見るとどれくらいか

公開されている保険料例から見る年間相場

まず押さえておきたいのは、法人向けサイバー保険には一律の価格表がないということです。

公開されている保険料例を見ても、一般業種なら年間数万円台から始まる一方で、IT業や補償を厚くした契約では年間100万円超まで広がっています。

日本損害保険協会も、保険料は年間売上高、業種、セキュリティ状況で決まり、保険金額は支払限度額、さらに免責金額の設定でも変わると案内しています。

公開例で見るとかなりイメージしやすくなります。

  • 損保ジャパンでは、売上高5億円・賠償1億円・費用3,000万円・自己負担額10万円・一括払の例で、製造業6.7万円、卸売業6.2万円、小売業9.3万円、物流業16.5万円、飲食業12.3万円、ITサービス業は119万円です。売上高30億円の例では、卸売業12.5万円、小売業18.8万円、物流業33.4万円、飲食業25万円、ITサービス業241.8万円まで上がっています。
  • 三井住友海上では、売上高10億円・割引確認シートによる60%割引適用の例で、製造業はエコノミー6万円、ベーシック6万8,160円、ワイド10万4,240円、小売業は6万円から22万4,570円、受託開発ソフトウェア業は6万820円から31万2,790円です。さらに利益損害補償特約を付けると、製造業で30万円台、小売業で40万円台、受託開発ソフトウェア業では180万円台まで上がります。

この公開例を並べて見ると、一般的な法人の目安としては、基本補償中心なら年間6万〜20万円台前半、売上規模や業種リスク、特約次第で20万〜40万円台、IT業務や利益損害まで厚く入れると数十万円から数百万円台まで広がる、と考えるのが現実的です。

ここで大事なのは、相場は1本ではなく、自社の条件で帯が変わるという見方です。

月額換算で見るとどれくらいか

年額だと少し重く見えますが、月額換算にすると判断しやすくなります。

損保ジャパンの12分割例では、売上高5億円・賠償1億円・費用3,000万円・自己負担額10万円・海外売上なし・保険期間1年・申告したセキュリティ対策が半分程度行われている想定で、製造業7,180円、小売業9,880円、卸売業6,460円、物流業1万4,370円、建設業6,460円、飲食業1万3,110円です。

売上高30億円では、製造業1万4,590円、小売業2万60円、物流業2万7,790円、飲食業2万5,360円などになっています。

月額で見ると、一般業種の基本的な契約なら1万円前後から2万円台で検討できるケースもあるとわかります。

もちろん、これは条件がかなり整理された試算ですし、IT業務の有無や利益損害の特約、セキュリティ水準で変わります。

ただ、読者がまず知りたい だいたいの肌感 としては、月数千円台後半から数万円台前半が一般業種の入口、ここから条件で上下すると考えるとわかりやすいです。

保険料を検討するときは、月額だけで安く見せるのではなく、どの補償まで含んでその金額なのかをセットで見るのがおすすめです。

月1万円前後でも十分なケースはありますが、利益損害やIT業務リスクを入れたい会社では、その感覚で見ると足りなくなることがあります。

サイバー保険の保険料が変わる主な要素

これからサイバー保険の保険料が変わる主な要素について解説します。

  • 売上高と業種で差が出る理由
  • 補償額・特約・セキュリティ対策で差が出る理由

売上高と業種で差が出る理由

保険料に一番わかりやすく効くのは、売上高と業種です。

売上が大きいほど、事故が起きたときの損害額や賠償責任が大きくなりやすく、保険会社の想定リスクも上がります。

日本損害保険協会も、保険料は年間売上高と業種で決まると案内しています。

公開例でもその差はかなりはっきりしています。

損保ジャパンの試算では、売上高5億円の製造業が6.7万円なのに対し、同条件の物流業は16.5万円、ITサービス業は119万円です。

売上高30億円になると、製造業13.8万円、物流業33.4万円、ITサービス業241.8万円まで開きます。

数字を見ると、単に会社の大きさだけでなく、事故時の波及範囲や他社への影響が大きい業種ほど高くなりやすいことがわかります。

現場感でいうと、物流、飲食、小売、ITのように、システム停止や個人情報漏えい、取引停止の影響が広がりやすい業種は、保険料も上がりやすい傾向があります。

逆に、比較的シンプルな補償設計で済みやすい業種は、相場の下側に収まりやすいです。

相場を調べるときは、自社の売上規模だけではなく、どの業種カテゴリで見られるかを必ずセットで見たほうが失敗しません。

補償額・特約・セキュリティ対策で差が出る理由

もう一つ大きいのが、どこまで補償するかです。

支払限度額を大きく取れば、そのぶん保険料は上がりますし、利益損害や営業継続費用、IT業務特約のようなオプションを付ければ価格は一気に上がります。

東京海上日動も、損害賠償責任、サイバーセキュリティ事故対応費用、コンピュータシステム中断の補償で構成され、オプションで限度額を設定する形を案内しています。

三井住友海上の公開例はこの差がとてもわかりやすいです。

売上高10億円の製造業では、利益損害補償特約なしならワイドでも10万4,240円ですが、利益損害補償特約を付けると33万9,900円になります。

受託開発ソフトウェア業では、IT業務特約なしなら31万2,790円ですが、特約を付けると180万8,170円まで上がります。

必要な補償を厚くすれば、保険料もそれに応じて上がるのは自然です。

一方で、セキュリティ対策が進んでいると保険料が下がる余地もあります。

三井住友海上では、情報管理体制に関する専用シートへの回答内容に応じて、保険料を最大60%割り引けると案内しています。

損保ジャパンの試算でも、申告したセキュリティ対策の実施状況を前提条件にしています。

つまり、保険料は交渉ではなく、会社のセキュリティ態勢そのものが反映される部分も大きいです。

相場より高くなりやすい法人と安く抑えやすい法人

これから相場より高くなりやすい法人と安く抑えやすい法人について解説します。

  • 保険料が高くなりやすい法人の特徴
  • 保険料を抑えやすい法人の特徴

保険料が高くなりやすい法人の特徴

保険料が高くなりやすいのは、IT業務を行う法人、売上規模が大きい法人、利益損害や営業継続費用まで厚くカバーしたい法人です。

とくにシステム開発、アプリ開発、受託ソフトウェアのように、顧客の業務に直結しやすい会社は、事故時の賠償リスクが高く見積もられやすいです。

損保ジャパンでも、ITサービス業は一般業種と比べてかなり高い保険料例が出ていますし、三井住友海上でもIT業務特約を付けた受託開発ソフトウェア業の保険料は大きく上がっています。

また、物流、小売、飲食のように、ネットワーク停止が売上や現場運営に直結しやすい業種も、価格が高めに出やすいです。

損保ジャパンの試算では、売上高5億円の物流業が16.5万円、飲食業が12.3万円、小売業が9.3万円で、製造業や卸売業より高めです。

月額例でも同じ傾向が見えています。

こうした業種は、漏えいだけでなく、システム停止時の営業影響まで見られるため、相場の上側に寄りやすいと考えておくと納得しやすいです。

現実には、事故後の初動費用も重くなりがちです。

AIGの資料では、デジタル・フォレンジック費用の目安はPC1台100万円、サーバー1台200〜300万円で、PC3台とサーバー1台の初期対応コスト例は合計約700万円とされています。

こうした費用まで見込んで補償を厚くすると、保険料が高くなるのはむしろ自然です。

保険料を抑えやすい法人の特徴

逆に、保険料を抑えやすいのは、一般業種で、支払限度額を必要以上に大きくしすぎず、利益損害やIT業務特約を無理に付けない法人です。

たとえば、三井住友海上の公開例では、売上高10億円でも製造業のエコノミープランは6万円、ベーシックでも6万8,160円です。

損保ジャパンでも、売上高5億円の卸売業や建設業は6.2万円とかなり抑えられています。

さらに、セキュリティ対策が整っている会社は、保険料面でも有利になりやすいです。

三井住友海上は最大60%割引の仕組みを用意しており、損保ジャパンの試算もセキュリティ対策の申告内容が前提になっています。

つまり、安くしたいなら保険会社に値引きをお願いするより、認証、更新管理、バックアップ、社内ルール整備のような土台を整えるほうが合理的です。

ここは少し誤解されやすいのですが、安い保険が良いのではなく、過不足なく絞れた保険が良いという感覚が大切です。

自社に不要な特約を外し、必要な補償だけを残し、セキュリティ評価で割引を取る。この順番で考えると、相場より高すぎる契約を避けやすくなります。

相場だけで選ばないための比較ポイント

これから相場だけで選ばないための比較ポイントについて解説します。

  • 安さだけで決めると足りなくなりやすい理由
  • 比較時に必ず見たいチェック項目

安さだけで決めると足りなくなりやすい理由

サイバー保険は、安さだけで決めると後で足りなくなりやすいです。

理由はシンプルで、実際の事故コストが思っているより大きいからです。

損保ジャパンの想定事故例では、メール誤送信による漏えい対応でも約230万円、クラウドサービスへの不正アクセスによる顧客情報流出では約1,300万円、さらに大規模漏えいでは約5億2,000万円や約5億4,000万円の損害例が示されています。

しかも、事故の背景を考えると、単発のミスだけで終わらないことが多いです。

警察庁は2025年のランサムウェア被害報告件数を226件と公表していますし、帝国データバンクの2025年調査では、サイバー攻撃を受けたことがある企業は32.0%でした。

被害は一部の特殊な会社だけで起きているわけではありません。

だからこそ、保険料の安さに引っ張られすぎると、いざという時に事故対応費用や利益損害が足りないということが起こります。

保険料の相場を見ること自体は大切ですが、その相場が何を削った結果なのかまで見ないと、本当の意味で比較したことにはなりません。

比較時に必ず見たいチェック項目

比較するときは、少なくとも次の5点は見ておきたいです。

  • 損害賠償責任の支払限度額
  • 事故対応費用の支払限度額
  • 利益損害や営業継続費用が含まれるか
  • IT業務特約や利益損害特約が必要か
  • 免責金額と付帯サービスの内容

東京海上日動は、損害賠償責任、事故対応費用、コンピュータシステム中断の補償枠を案内しており、オプションで利益損失や営業継続費用を設定できるとしています。

日本損害保険協会も、サイバー保険には事故前後のサポートが付く商品があると紹介しています。

価格だけではなく、事故時に何を手伝ってもらえるかまで見るのが実務的です。

読者が見落としやすいのは、同じ年額15万円でも中身が全然違うことです。

賠償中心の薄い設計なのか、事故対応費用まで十分なのか、利益損害も入っているのかで意味が変わります。

保険料の数字だけを比較するより、補償範囲を同じ条件にそろえて比べるほうが失敗しにくいです。

自社に合うサイバー保険の考え方

これから自社に合うサイバー保険の考え方について解説します。

  • 自社の想定損害から保険料を考える方法
  • 見積もり時に確認したい実務ポイント

自社の想定損害から保険料を考える方法

自社に合う保険料を考えるときは、相場から入るより、想定損害から逆算するほうが失敗しません。

たとえば、顧客情報が漏えいしたときに通知費用、コールセンター費用、調査費用、復旧費用でいくらかかるか。

システムが3日止まったら売上や固定費にどれくらい影響が出るか。

ここをざっくりでも計算してから、必要な支払限度額を考える流れです。

事故対応費用やシステム復旧費用、再発防止費用、訴訟対応費用は、各社が標準補償として案内しています。

公開されている保険料例から逆算すると、一般業種で基本補償中心なら年6万〜20万円台が入口、売上規模が上がるか、物流・飲食・小売のようにシステム停止の影響が大きい業種なら20万〜40万円台、IT業務や利益損害まで厚くしたい場合は60万円超から数百万円台も十分あり得ます。

これはあくまで公開例ベースの目安ですが、相場感をつかむには十分役立ちます。

この考え方だと、保険料が高いか安いかではなく、その保険料でどれだけの事故を吸収できるかで判断しやすくなります。

経営として見るなら、最安値を探すより、事故後に会社が止まらない金額設計をするほうが、結局は納得感が高いです。

見積もり時に確認したい実務ポイント

見積もりを取るときは、保険会社や代理店に次の点を確認しておくと安心です。

  • 自社の業種区分はどう見られるか
  • 利益損害補償は本当に必要か
  • 事故対応費用の限度額は十分か
  • セキュリティ対策の申告でどこまで割引が変わるか
  • 事故時に紹介される専門事業者や相談窓口はあるか

日本損害保険協会は、事故前の情報セキュリティ診断や事故後の専門事業者紹介サービスなど、事前・事後のサポートが付く商品があると紹介しています。

三井住友海上も、事故コーディネーター支援や専用コールセンターなどのサービスを案内しています。

実際の運用では、保険金だけでなく、誰にすぐ相談できるかがかなり重要です。

保険は入って終わりではありません。

相場を見て終わるのではなく、自社の売上規模、業種、事故時の止まり方、社内のセキュリティ水準を踏まえて見積もりを取り、補償の中身まで比較する。

この順番で考えると、価格にも内容にも納得しやすい契約に近づきます。

法人サイバー保険の相場: まとめ

法人向けサイバー保険の相場は一律ではなく、公開例では一般業種の基本補償中心で年6万〜20万円台、売上規模や業種リスク、利益損害特約の有無で20万〜40万円台、IT業務や厚い補償では数十万円から数百万円台まで広がります。

保険料は売上高、業種、支払限度額、免責金額、セキュリティ対策で変わるため、相場だけでなく補償内容と事故時の想定損害から考えるのが大切です。

この記事のポイント
  • 保険料は年間売上高、業種、セキュリティ状況で決まる
  • 一般業種の公開例では年6万〜20万円台前半が入口になりやすい
  • 利益損害特約やIT業務特約を付けると保険料は大きく上がる
  • 事故対応費用は初動だけでも数百万円規模になることがある
  • 相場より、自社の想定損害に対して足りるかで判断するのが重要

法人サイバー保険の相場: よくある質問

法人向けサイバー保険の相場は結局いくらくらいですか。

公開されている試算例ベースでは、一般業種の基本補償中心なら年間6万〜20万円台前半が入口になりやすいです。ただし、売上規模が大きい会社、物流・飲食・小売、IT業務を行う会社、利益損害特約を付ける会社では、20万〜40万円台、さらに数十万円から数百万円台まで上がることがあります。

安いプランだけで十分ですか。

安いプランで十分な会社もありますが、事故対応費用や利益損害まで必要な会社では足りなくなりやすいです。実際の想定事故例では、数百万円から5億円超の損害例も公開されています。自社の情報量とシステム停止時の影響を見て決めるほうが安心です。

保険料を下げる方法はありますか。

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