法人保険を検討するときに一番迷うのが、いくらから入れるのかという金額の話です。
ただ、先に保険料だけを決めると、保障が足りなかったり、支払いが続かなかったりして失敗しやすくなります。
この記事では、月額の目安、保険料が決まる仕組み、目的別の考え方、返戻率50%超の税務ルールまでまとめて整理します。
無理なく始めて会社を守る設計にしたい方は、順番通りに確認してみてください。
- 法人保険はいくらからでも始められますが、目的と必要保障額を先に決めるのが安全です。
- 返戻率50%超は損金算入が制限されるため、節税目的だけで選ぶとズレます。
- 資金繰りに無理のない月額から始め、税引後に残る現金で保障額を設計します。

【保険コンサルタント:長谷川】
保有資格
- 損害保険募集人資格
- 生命保険募集人資格
- 損害保険大学課程資格
- FP2級
保険業界歴12年、火災保険取扱件数2,000件、保険金の請求対応の顧客満足度98%
法人保険はいくらから可能かの結論
これから法人保険はいくらから可能かの結論について解説します。
- 月々いくらから現実的かの目安
- 最低ラインを決めるときの考え方
- 金額より先に決めるべき前提
月々いくらから現実的かの目安
法人保険は月数千円〜数万円でも始められますが、現実的には月1万円前後から検討されるケースが多いです。
理由は、法人保険は目的に対して必要保障額が大きくなりやすく、月数千円だと保障が薄くなりやすいからです。
団体保険のように人数で割る仕組みだと1人あたり月1,000円前後の例もありますが、これは従業員が一定人数いる前提の設計です。
小規模法人で社長の保障を作る場合は、保障額・期間・健康状態で保険料が動くので、月額は幅が出ます。
まずは固定費として無理のない金額から入り、必要保障額と資金繰りの両方で調整するのが安全です。
最低ラインを決めるときの考え方
最低ラインは保険会社の下限ではなく、会社の守りたいものの下限で決めるのがコツです。
理由は、法人保険は買い物ではなく設計なので、目的が曖昧だと保険料だけが先に決まって失敗しやすいからです。
社長に万が一があったとき、最低限どこまで資金を残したいかを一度だけ数字で置きます。
たとえば「借入返済の当面分」「外注・人件費の数か月分」「取引先対応の費用」などです。
これが決まると、必要保障額が見え、そこから保険料が逆算できます。
金額より先に決めるべき前提
法人保険は金額より前に、誰に何が起きたときに、いくら必要かを決めるほうが早いです。
理由は、同じ月額でも、掛け捨て型と貯蓄型では目的適合が全く変わるからです。
設計の前提として最低限この3つを決めると迷いが減ります。
- 守りたい対象:社長/役員/従業員
- 守りたい目的:事業保障/退職金/福利厚生/事業承継
- 守りたい期間:今すぐ数年/中期/長期
この前提が決まれば、月額の適正レンジは自然に絞れます。
法人保険の保険料が決まる仕組み
これから法人保険の保険料が決まる仕組みについて解説します。
- 保険料は保障額と期間でほぼ決まる
- 掛け捨て型と貯蓄型で負担感が変わる
- 役員・従業員・団体で設計が変わる
保険料は保障額と期間でほぼ決まる
法人保険の保険料は、必要な保障額と保険期間で大枠が決まります。
理由は、法人向けでも生命保険としての設計原理は同じで、保障が大きく長いほど保険料は上がるからです。
たとえば事業保障で「大きな保障を短期で持つ」なら掛け捨て中心になりやすく、「退職金原資を作りたい」なら長期の設計になりやすいです。
まずは保障額と期間だけ決めて、商品タイプは後から詰めると判断が速いです。
掛け捨て型と貯蓄型で負担感が変わる
同じ保障額でも、掛け捨て型は保険料を抑えやすく、貯蓄型は保険料が上がりやすいです。
理由は、貯蓄型は保障に加えて将来の戻りを作る仕組みが入るため、毎月の支払いが重くなりやすいからです。
設計としては、倒産リスクを避けたい会社ほど掛け捨て寄り、将来の退職金準備まで含めたい会社ほど貯蓄寄りになりやすいです。
正解は会社の余力と目的で変わります。
役員・従業員・団体で設計が変わる
誰を対象にするかで、保険料の出方が変わります。
理由は、1人に厚くかける設計と、団体で薄く広くかける設計では、単価の考え方が違うからです。
団体保険だと、人数条件次第で1人あたり月1,000円前後の例が示されることもあります。
福利厚生で「広く薄く」を優先するのか、社長の事業保障で「一点集中」を優先するのかで、月額の現実感が大きく変わります。
よくある加入パターン別の目安
これからよくある加入パターン別の目安について解説します。
- 社長の万が一に備える事業保障
- 役員退職金の準備
- 福利厚生としての団体保険
社長の万が一に備える事業保障
社長の事業保障は、まず必要保障額を決めてから月額を合わせにいくのが定石です。
理由は、事業が止まったときの資金需要は会社ごとに違い、相場で決めると不足か過剰になりやすいからです。
必要保障額は税引後の手取りで考えるとズレが減ります。
法人が保険金を受け取ると課税が絡むため、税率を仮置きして「必要資金÷(1-税率)」の発想を入れると安全です。
この設計にすると、月額はいきなり固定せず、保障額と期間を調整して着地できます。
役員退職金の準備
退職金準備は、毎月の積立として無理のない金額から始めるのが合っています。
理由は、退職金は一発勝負ではなく、長期で積み上げていく設計になりやすいからです。
退職時期が10年以上先なら、月額を低めに置いても総額は作れます。
逆に数年以内なら、月額の負担が上がるので、資金繰りに耐えられるかを優先したほうが失敗しにくいです。
福利厚生としての団体保険
福利厚生は、1人あたりの単価で見ると少額から始めやすいです。
理由は、団体で加入することで保険料を抑えた設計例が用意されていることがあるからです。
従業員の採用・定着が課題なら、少額でも打ち出しやすいのが福利厚生型です。
制度にする場合は、加入条件や運用ルールも同時に整えておくと揉めにくいです。
節税目的で入る前に知るべき税務ルール
これから節税目的で入る前に知るべき税務ルールについて解説します。
- 損金算入は商品と設計で変わる
- 返戻率50%超のルールと例外
- 受取時は課税される前提で設計する
損金算入は商品と設計で変わる
法人保険は常に全額が経費になるわけではありません。
理由は、保険金の受取人や被保険者の範囲、保険の種類により、損金算入の考え方が変わるからです。
国税庁でも定期保険・第三分野保険の保険料の取扱いが整理されています。
税務は契約形態で結論が変わるので、パンフの言い回しだけで判断せず、経理処理の前提を先に確認するのが安全です。
返戻率50%超のルールと例外
返戻率が高い設計ほど、損金算入が制限されやすいです。
理由は、2019年以降のルールで、最高解約返戻率が50%を超える場合は、保険料の全額を即時に損金算入できない枠組みが入っているためです。
例外として、最高解約返戻率が70%以下で、かつ年換算保険料が被保険者1人あたり合計30万円以下の場合など、一定条件で通常の取扱いになる旨も示されています。
ここを知らずに「戻る=全部経費」を期待するとズレます。
受取時は課税される前提で設計する
法人が保険金や解約返戻金を受け取ると、基本的に課税が絡みます。
理由は、支払時に損金になったとしても、受取時に益金になる構造があるため、節税というより税金のタイミング調整になりやすいからです。
だからこそ出口を先に決めるのが重要です。
いつ解約するのか、誰が受け取るのか、退職金とどう組み合わせるのかまで決めて初めて、法人保険は武器になります。
失敗しない選び方と見積りの進め方
これから失敗しない選び方と見積りの進め方について解説します。
- 必要保障額を税引後で考える
- いくら払えるかは資金繰り基準で決める
- 見積り前に用意するチェックリスト
必要保障額を税引後で考える
必要保障額は、税引後に会社に残る金額で考えるのが実務的です。
理由は、法人が受け取る保険金は課税の影響で目減りし、必要資金ぴったりの保険金額だと足りないことがあるからです。
法人実効税率を仮置きして、必要資金の約1.5倍を目安にする考え方も示されています。
この視点があると、見積りの比較軸がぶれにくいです。
いくら払えるかは資金繰り基準で決める
月額は、売上ではなく資金繰りで決めるのが安全です。
理由は、保険料は固定費で、支払いが続くことでキャッシュフローが悪化するリスクがあるからです。
目安としては、税引後利益や役員報酬の増減より先に、現預金の推移と固定費の比率を見ます。
苦しい月でも払える金額から始めると、途中解約の確率が下がります。
見積り前に用意するチェックリスト
見積り前にこれだけ揃えると、提案の精度が上がります。
理由は、法人保険は条件次第で税務も保険料も変わり、前提が曖昧だと比較不能になるからです。
- 目的:事業保障/退職金/福利厚生/承継
- 対象:被保険者(社長・役員・従業員)と受取人
- 期間:いつまで保障が必要か
- 必要資金:万が一時に必要な現金(内訳)
- 出口:解約・満期・退職・死亡のどれを想定するか
- 経理体制:税理士への確認ルート、仕訳の担当
よくある落とし穴と対策
これからよくある落とし穴と対策について解説します。
- キャッシュフロー悪化
- 途中解約で損をする
- 税務処理のズレで後から困る
キャッシュフロー悪化
法人保険の一番多い失敗は、支払いが重くなって続かないことです。
理由は、保障を厚くしようとすると保険料が上がり、運転資金を圧迫しやすいからです。
対策はシンプルで、保障を一度に完成させないことです。
最低限の保障から始め、業績と現預金の推移を見て増額していくほうが長続きします。
途中解約で損をする
貯蓄型ほど、早期解約で戻りが少ないリスクがあります。
理由は、設計上、一定期間は返戻金が伸びにくい局面があり、支払総額を下回る可能性があるからです。
対策は、解約しうる年を先に洗い出し、その時点の返戻率・税務処理を確認したうえで入ることです。
出口まで設計できないなら、掛け捨て寄りで守りだけ作るのも現実的です。
税務処理のズレで後から困る
税務処理の前提がズレると、決算で慌てます。
理由は、定期保険・第三分野保険の保険料は、条件により資産計上や取り崩しが絡むため、処理が複雑になるからです。
対策としては、契約時点で税理士に「受取人・返戻率・年換算保険料」まで共有し、毎年の処理ルールを固定しておくことです。
法人保険の金額目安: まとめ
法人保険はいくらからでも始められますが、金額より目的と必要保障額を先に決めるのが成功の近道です。
保険料は保障額と期間、掛け捨てか貯蓄型かで大きく変わります。
節税は万能ではなく、返戻率50%超は損金算入が制限されるなど税務ルールがあるため、出口まで含めた設計が必要です。
資金繰りに無理のない月額から始め、税引後に必要な現金で保障額を決めると失敗しにくくなります。
- 月額の下限より、守りたい目的と必要資金の下限を先に決める
- 返戻率50%超は損金算入が制限されやすい
- 受取時の課税を前提に、税引後の必要額で保障額を設定する
- 続かない設計が最大の損。資金繰り基準で月額を置く
法人保険の金額目安: よくある質問
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