モバイルバッテリー火災は保険適用?原因と正しい使い方を徹底解説

スマートフォンやタブレットの必需品であるモバイルバッテリー。

便利さの裏側には、発火・火災という大きなリスクが潜んでいます。

ニュースなどで火災事故を目にすると、「もし自分の家で火事になったら?」「火災保険は適用されるの?」と不安になりますよね。

本記事では、「モバイルバッテリーの火災」に特化し、火災の主な原因から、ご自宅の火災保険や他者への賠償責任保険がどこまで適用されるのかを詳しく解説します。

大切な財産と安全を守るために、正しい知識と備えを確認しましょう。

この記事を3行で解説
  • モバイルバッテリー火災は火災保険の対象だが、他者への賠償には個人賠償責任特約が必須。
  • 火災の主な原因は熱暴走。充電中は目を離さず、PSEマーク製品を選び、膨張したら即廃棄。
  • 万一火災が発生したら、安全確保後に保険会社に連絡し、り災証明書で請求手続きを進める。
記事の筆者
保険アドバイザー

【保険コンサルタント:長谷川】
保有資格

  • 損害保険募集人資格
  • 生命保険募集人資格
  • 損害保険大学課程資格
  • FP2級

保険業界歴12年、火災保険取扱件数2,000件、保険金の請求対応の顧客満足度98%

目次

モバイルバッテリーの火災リスクと原因

これからモバイルバッテリーの火災リスクと原因について解説します。

  • モバイルバッテリー火災の主な発生原因
  • 火災リスクが高まるモバイルバッテリーの特徴
  • 安全性の高い製品選びのポイント(PSEマークなど)

モバイルバッテリー火災の主な発生原因

モバイルバッテリーの火災は、主に内部のリチウムイオン電池の異常発熱(熱暴走)によって引き起こされます。

これは、電池が過充電されたり、外部からの強い衝撃を受けたり、内部でショートしたりすることで発生します。

特に、充電中に異常な熱を持ち始めると、一気に発火に至るケースが多いんです。

リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため、一度異常が発生すると急速に温度が上昇し、手の施しようがない状態になることがあります。

リチウムイオン電池の構造上、内部のセパレーターが破損すると正極と負極が接触し、ショートしてしまいます。

例えば、モバイルバッテリーをポケットに入れたまま鍵などの金属と接触させたり、落下させて強い衝撃を与えたりすると、内部構造が損傷し、時間差で発火に至ることもあります。

見た目には問題なさそうでも、内部でダメージが蓄積している可能性があるんですね。

火災の原因の多くは、製品自体の不良よりも、使い方や保管方法に問題があるケースが多いと言われています。

火災リスクが高まるモバイルバッテリーの特徴

火災リスクが高まりやすいのは、まず「極端に安価な製品」や「非正規の製品」です。

これらの製品は、コスト削減のために粗悪な部品を使っていたり、安全基準を満たしていない保護回路しか搭載していない場合があります。

また、長期間使用して膨張しているバッテリーも非常に危険です。

バッテリーが膨らんでいるのは、内部でガスが発生し、電池が劣化しているサインです。

そのまま使い続けると、内部ショートや破裂のリスクが格段に高まります。

さらに、メーカーが推奨していない急速充電器やケーブルの使用もリスクを高めます。

過度な電流や電圧がバッテリーに流れ込むことで、熱暴走を引き起こす原因になるからです。

もしお使いのバッテリーが「異常に熱くなる」「変形している」「異臭がする」といった症状があるなら、すぐに使用を中止し、適切な方法で処分することが大切です。

見た目の変化は、バッテリーからの危険信号だと認識してください。

安全性の高い製品選びのポイント(PSEマークなど)

安全なモバイルバッテリーを選ぶ上で最も重要なのが「PSEマーク」の有無です。

PSEマークは、電気用品安全法に基づき、国が定めた技術基準を満たした製品にのみ表示が許されるマークです。

このマークがない、あるいは偽造されている製品は、安全性が保証されていません。

購入時には必ずパッケージや本体にPSEマークが表示されているかを確認しましょう。

また、信頼できるメーカーの製品を選ぶことも重要です。

大手メーカーの製品は、過充電・過放電・過熱を防ぐための複数の保護機能を搭載していることが多いです。

加えて、購入者のレビューや評価も参考にすると良いでしょう。

特に、充電中に熱を持たないか、耐久性があるかなど、実際に使った人の声は非常に参考になります。

安全はお金で買える、という意識で、多少高くても信頼できる製品を選ぶことが、火災リスクを避けるための第一歩です。

モバイルバッテリー火災で自宅が被害を受けた場合の保険適用範囲

これからモバイルバッテリー火災で自宅が被害を受けた場合の保険適用範囲について解説します。

  • 自分の家財や建物への火災保険の適用可否
  • 経年劣化や自然発火の場合の保険の扱い
  • 保険金が支払われない可能性があるケース

自分の家財や建物への火災保険の適用可否

モバイルバッテリーが原因で火災が発生し、ご自身の建物や家財に損害が出た場合、基本的に加入している火災保険の補償対象となります。

火災保険は、火災による損害をカバーするための保険だからです。

建物自体はもちろん、家具や家電、衣類などの家財も、保険証券に記載されている補償範囲内であれば保険金が支払われます。

ただし、重要なのは「火災保険の契約内容」です。

建物のみを契約している場合、家財の損害は補償されませんし、その逆も然りです。

例えば、充電中のモバイルバッテリーが発火し、床や壁が焦げた場合は建物の補償、近くにあったテレビやソファが焼けた場合は家財の補償が適用されます。

事故が発生したら、まずは契約している保険会社に連絡し、具体的な状況を伝えることが大切です。

経年劣化や自然発火の場合の保険の扱い

モバイルバッテリーが経年劣化や自然発火によって火災を引き起こした場合でも、結果として「火災」という損害が発生していれば、火災保険の対象となるのが一般的です。

保険は、予期せぬ事故による損害をカバーするためのものです。

バッテリーが寿命で発火したとしても、それは予期せぬ事故と見なされます。

ここで注意したいのが、バッテリー自体の損害です。

火災保険は、火災によって焼失した建物や家財を補償するものですが、火元となったモバイルバッテリーそのものの損害に対しては、補償対象外となることが多いです。

これは、火災保険が損害の原因となった物ではなく、その結果生じた損害を補償する仕組みになっているからです。

バッテリーが古くなったからといって、保険会社に隠さずに正直に状況を報告しましょう。

保険金が支払われない可能性があるケース

火災保険に加入していても、保険金が支払われない可能性のあるケースがいくつかあります。

最も代表的なのは、「故意または重大な過失」による火災です。

例えば、危険だと知っていながらバッテリーを分解したり、明らかに異常な使い方をしたりして火災が発生した場合、重大な過失と判断される可能性があります。

また、保険契約者や被保険者の故意による失火は、当然ながら補償されません。

さらに、地震や噴火、津波が原因で発生した火災による損害は、通常の火災保険では補償されず、別途「地震保険」に加入している必要があります。

モバイルバッテリー火災は通常、地震とは関係ありませんが、保険の適用範囲を理解しておくことは重要です。

保険会社に事実を正確に伝え、重大な過失と判断されないように注意しましょう。

モバイルバッテリー火災で他人の家や物を傷つけた場合の保険適用範囲

これからモバイルバッテリー火災で他人の家や物を傷つけた場合の保険適用範囲について解説します。

  • 賠償責任保険(個人賠償責任特約)の役割
  • 賃貸物件での火災事故における大家さんへの賠償
  • 賠償責任保険の補償対象となる範囲

賠償責任保険(個人賠償責任特約)の役割

モバイルバッテリー火災で最も心配なのが、隣家やアパートの他の部屋に延焼してしまった場合の賠償責任です。

日本の法律では、失火法により、重大な過失がない限り隣家への延焼に対しては原則として賠償責任を負いません。

しかし、これはあくまで法律上の話であり、道義的な責任や、賃貸物件の場合は話が別になります。

ここで役立つのが、「個人賠償責任特約」です。

これは火災保険や自動車保険、傷害保険などに特約として付帯できるもので、日常生活で他人にケガをさせたり、物を壊したりした際の法律上の賠償金をカバーしてくれます。

モバイルバッテリー火災で隣家に損害を与え、法律上の賠償責任が発生した場合、この特約があれば安心です。

この特約は、家族全員をカバーできることが多いので、必ず加入状況を確認しておきましょう。

賃貸物件での火災事故における大家さんへの賠償

賃貸物件に住んでいる場合、モバイルバッテリー火災で部屋を焼損させてしまうと、大家さんに対して賠償責任が発生します。

これは、賃貸借契約において「借りたものを元の状態に戻して返す(原状回復義務)」という義務があるためです。

失火法が適用されるのは隣家など第三者に対してであり、契約関係にある大家さんに対しては適用されません。

この大家さんへの賠償責任も、多くの場合、火災保険に付帯されている「借家人賠償責任特約」でカバーされます。

賃貸契約を結ぶ際に加入が義務付けられていることが多い保険ですね。

もし火災を起こしてしまったら、この特約を使って大家さんへの賠償金を支払うことになります。

自分の家財だけでなく、大家さんへの責任もカバーされているか、契約内容を再確認しましょう。

賠償責任保険の補償対象となる範囲

個人賠償責任保険の補償対象となるのは、法律上の損害賠償責任を負った場合です。

モバイルバッテリー火災の場合、例えば、隣家の外壁を焦がしてしまった、隣家の家財を焼失させてしまったといったケースが該当します。

保険金は、損害額や示談交渉費用、訴訟費用など、賠償に必要な費用に充てられます。

ただし、注意点として、業務中に発生した事故や、故意による損害は補償対象外です。

また、補償額には上限がありますので、特に高額な賠償リスクに備えるためにも、補償限度額が十分か確認しておくことが大切です。

最近では無制限のプランも増えています。

モバイルバッテリーは日常的に使うものですから、万が一に備えて特約の加入は強くおすすめします。

火災を防ぐためのモバイルバッテリーの正しい使い方と保管方法

これから火災を防ぐためのモバイルバッテリーの正しい使い方と保管方法について解説します。

  • 充電時の注意点とやってはいけないこと
  • 長期保管時の安全な管理方法
  • 異常を感じた時の廃棄方法(リサイクル含む)

充電時の注意点とやってはいけないこと

モバイルバッテリーを充電する際は、目を離さないことが鉄則です。

特に寝ている間や外出中に充電するのは非常に危険です。

万が一発火した場合、初期対応が遅れて被害が拡大する恐れがあるからです。

充電中は、熱がこもりにくい平らで安定した場所で行いましょう。

絶対にやってはいけないのは、「布団やカーペットの上など、熱がこもりやすい場所での充電」です。

また、充電が完了したらすぐにケーブルを抜くように心がけ、過充電を避けることも大切です。

充電器やケーブルは、必ず製品に付属していたものか、メーカーが推奨している純正品や認証品を使用してください。

充電中にバッテリーが異常に熱くなったり、異臭がしたりしたら、すぐに充電を中止し、電源から切り離しましょう。

長期保管時の安全な管理方法

モバイルバッテリーを長期間使用しない場合でも、安全な状態で保管することが重要です。

リチウムイオン電池は、満充電または完全に放電した状態で保管すると劣化が進みやすい特性があります。

理想的なのは、充電残量を30%〜50%程度にしておくことです。

保管場所も重要です。

直射日光が当たる場所や、高温になる車内、湿気の多い場所などは避けてください。

熱はバッテリーの劣化と発火リスクを高める最大の敵です。

また、金属製品と一緒に保管するとショートの原因になるため、専用のケースに入れるなどして、他の金属から隔離して保管しましょう。

定期的にバッテリーの状態をチェックし、膨張などの異常がないか確認する習慣をつけることも大切です。

異常を感じた時の廃棄方法(リサイクル含む)

モバイルバッテリーが膨張したり、強い衝撃を与えてしまったりして異常を感じた場合は、決してそのまま使い続けず、速やかに廃棄しなければなりません。

一般のゴミとして捨ててしまうと、収集車や処理施設で火災を引き起こす原因となり大変危険です。

モバイルバッテリーは、リサイクルが義務付けられています。

廃棄する際は、電極部分をビニールテープなどで絶縁した上で、家電量販店やホームセンターなどに設置されている「リサイクル協力店」の回収ボックス(JBRCマークが目印)に入れるのが最も安全で正しい方法です。

自治体によっては回収方法が異なる場合もありますので、確認してみてください。

安全な廃棄は、火災事故を未然に防ぐための最後の砦です。

火災発生時の具体的な対処法と保険請求の流れ

これから火災発生時の具体的な対処法と保険請求の流れについて解説します。

  • 火災発生直後の初期対応(消火・避難)
  • 保険会社への連絡と事故状況の報告
  • 保険金請求に必要な書類と手続きの流れ

火災発生直後の初期対応(消火・避難)

万が一モバイルバッテリーが発火した場合、まずはご自身の安全を確保することが最優先です。

火が小さいうちであれば、濡れたタオルや毛布などで覆い、酸素を遮断して消火を試みます。

ただし、リチウムイオン電池の火災は水で消火しにくく、大量の水をかけると状況が悪化することもあります。

無理に消火しようとせず、少しでも火が大きくなったらすぐに避難してください。

避難する際は、周囲に火災を知らせ、119番通報を行います。

通報時には、「モバイルバッテリーからの出火であること」を伝えると、消防隊の対応がスムーズになります。

初期消火を試みるのは、あくまで安全が確保できる範囲内にとどめ、命を危険にさらさないように注意しましょう。

保険会社への連絡と事故状況の報告

火災が収束し、安全が確保されたら、できるだけ早く加入している火災保険の保険会社に連絡を入れましょう。

連絡が遅れると、保険金請求の手続きが遅延する可能性があります。

連絡時には、以下の情報を正確に伝えます。

  • 契約者名と証券番号
  • 火災が発生した日時と場所
  • 火災の原因(モバイルバッテリーからの出火であること)
  • 損害を受けた建物や家財の状況

保険会社は、その後の手続きや必要な書類について指示してくれます。

また、警察や消防による「り災証明書」の発行手続きについても確認しておきましょう。

現場の状況を写真や動画で記録しておくことも、後の手続きで非常に役立ちます。

保険金請求に必要な書類と手続きの流れ

保険金請求には、いくつかの書類が必要になります。

主な必要書類は以下の通りです。

書類名取得先・目的
保険金請求書保険会社から送付される書類
り災証明書消防署が発行。火災の事実を証明
損害状況報告書損害を受けた家財や建物のリストと金額
修理見積書損害箇所の修理費用を証明
現場写真損害状況を客観的に示す証拠

書類を揃えたら、保険会社に提出し、保険会社による損害調査(鑑定人による現地調査など)が行われます。

調査結果に基づき、保険会社が保険金の支払い額を決定し、契約者の口座に振り込まれるという流れです。

手続きには時間がかかることもありますが、保険会社の指示に従って正確に進めることが、スムーズな保険金受領への道となります。

モバイルバッテリー火災時の保険:まとめ

モバイルバッテリーの火災は、リチウムイオン電池の熱暴走が主な原因であり、過充電や衝撃、安価な非正規製品の使用がリスクを高めます。

火災が発生し、自宅の建物や家財に損害が出た場合、火災保険が適用されますが、保険金が支払われるのは火災による損害に対してであり、火元となったバッテリー自体は対象外です。

また、賃貸物件の場合は借家人賠償責任特約、隣家など他者への延焼損害に備えるには個人賠償責任特約が重要になります。

火災を防ぐためには、充電中は目を離さず、熱がこもらない場所で行い、異常を感じたバッテリーは安全にリサイクルすることが肝心です。

万一火災が発生したら、安全確保後に速やかに保険会社に連絡し、り災証明書などの必要書類を揃えて請求手続きを進めましょう。

この記事のポイント
  • モバイルバッテリー火災は火災保険(建物・家財)の補償対象となる。
  • 他者への賠償は個人賠償責任特約(失火法適用外の賃貸物件は借家人賠償特約)でカバー。
  • PSEマークのない製品や膨張したバッテリーの使用は避けるべき。
  • 充電中は目を離さず、熱がこもる場所での充電は絶対にしない。
  • 異常を感じたバッテリーは一般ゴミに出さず、必ずJBRC協力店などでリサイクルする。

モバイルバッテリー火災時の保険:よくある質問

モバイルバッテリーが原因の火災で、隣の家に被害が出た場合、必ず賠償しなければならないのでしょうか?

日本の「失火責任法」により、火元に重大な過失がない限り、隣家への延焼による損害賠償責任は原則として免除されます。ただし、道義的な責任は残りますし、重大な過失と判断される可能性もゼロではありません。万が一に備え、個人賠償責任特約に加入しておくと安心です。

膨らんでしまったモバイルバッテリーは、火災保険で買い替え費用が出ますか?

いいえ、火災保険は「火災によって生じた損害」を補償するものです。バッテリーが膨らむなどの経年劣化や故障による買い替え費用は、火災保険の補償対象外です。異常を感じた場合は、火災を引き起こす前に使用を中止し、安全に廃棄してください。

モバイルバッテリーを充電中に家を空けていて火災になった場合、保険金は出ますか?

基本的に保険金は支払われますが、保険会社は「重大な過失」がなかったかを調査します。例えば、熱がこもりやすい布団の上で充電するなど、明らかに危険な行為をしていたと判断された場合、重大な過失と見なされ、保険金が減額されたり支払われなかったりする可能性があります。充電中は目を離さないことが重要です。

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