法人が事業活動をする際に絶対に必要になるのが、「賠償責任」に対するリスク管理です。
万が一の事故の際に、多額の損害賠償請求を請求されてしまっては、法人の存続に関わる大きな問題になります。
でも、どんな時にどのような補償があれば安心できるのかということは意外に知られておりません。
そこで、こちらの記事では法人が事業活動をする時に必要になる「賠償責任保険」について解説していきます。
万が一の事故の際に慌てないようにしっかりと理解するようにしましょう。
賠償責任保険の補償内容
法人が加入する賠償責任保険とは、法人が事業活動において「第三者の身体」または「第三者の財物」に損害を与えてしまい、法的に損害賠償請求が発生した場合にその損害賠償金を補償してくれる保険のことです。
少し難しい解説ですが、法的に損害賠償請求が発生するとはどういうことなのかも併せて解説します。
法的な賠償責任とは
法的な賠償責任とは、「法律上で損害賠償責任が発生している状況」のことです。
自分が起こしてしまった事故によって、他人にケガをさせたり、他人の財物を破損させてしまった場合に、そのケガや破損させた財物に対して補償しなければならない責任のことです。
法的と言っても裁判にならないと補償されないか?というとそうではなく、客観的に見て責任の所在が法人にある場合は補償対象になる可能性が高くなります。
しかし、法人が起こしてしまった事故がなんでも補償されるかと言うとそうではなく、補償対象外になるケースもあります。
賠償責任保険の保険金が支払われない主なケース
下記のようなケースの場合には損害賠償責任の保険金の支払いがされません。
- 法的に損害賠償責任が発生しない事故
- 故意や重過失による事故
- 従業員のケガ
- 自社の所有財物の損害
このような場合には損害賠償責任保険の補償対象外になります。
自社の従業員や自社の所有する財物の場合には、「第三者」に該当しないので、補償がかかっていない状態になります。
法人向けの賠償責任保険の種類
一言に法人向けの賠償責任保険と言っても、様々な種類があります。
こちらでは代表的な法人向けの賠償責任保険の種類を紹介します。
- PL保険(生産物賠償責任保険)
- 施設賠償責任保険
- 総合賠償責任保険
- 請負事業者賠償責任保険
- 受託者賠償責任保険
- 運送事業者貨物賠償責任保険
- 福祉事業者賠償責任保険
- 医師賠償責任保険
- サイバー保険
このような賠償責任保険が代表的な保険になります。
では一つづつ解説していきます。
PL保険(生産物賠償責任保険)
PL保険(生産物賠償責任保険)は、自社で製造または販売した商品や製品が原因となって、他人にケガをさせたり、他人の財物を破損させ得たりした場合の賠償責任のリスクを賄う保険です。
製品だけではなく、工事業者が行った仕事の結果が原因で、他人にケガをさせたり、他人の財物を破損させた場合も補償の対象となります。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険とは、自社が「所有」「使用」「管理」する施設が原因となり、他人にケガをさせたり、他人の財物を破損させてしまった場合のための保険です。
事務所を構えている法人や、物件を貸し出しているなどの業務を行っている法人には必要不可欠な保険になります。
総合賠償責任保険
総合賠償責任保険とは、法人が事業活動を行う上で抱える様々な賠償のリスクを包括的に補償する保険です。
保険会社によって様々な名称がありますが、基本的には、1つの証券で事業活動の賠償リスクを賄うことができます。
請負事業者賠償責任保険
請負事業者賠償責任とは、主に工事業者が加入する保険です。
工事中の作業が原因となり、他人にケガを負わせたり他人の財物を破損させてしまった場合の損害賠償責任を賄うための保険です。
工事に関わる事業者には必須の保険となります。
受託者賠償責任保険
受託者賠償責任保険とは、第三者から受託された財物に損害を与えてしまった場合の損害賠償責任を賄う保険です。