自動車を持っている方は多くの方が加入している自動車保険。
しかし、自動車保険の補償内容についてしっかりと理解して加入した方は少ないと思います。
万が一の事故に備えて保険に加入している方も多いですが、その保険は本当に自分に合ったものなのでしょうか?
また、自動車保険は必要と分かっていても、毎年の保険料は少しでも削減したいと思っている方も少なくありません。
この記事では、個人自動車保険の選び方や節約術について解説します。
保険料と補償範囲のバランスの見極め方を具体的な事例を交えて説明します。
- 自動車保険の詳しい補償内容
- 個人自動車保険の補償の選び方
- 保険料削減の具体的方法
自動車保険の補償内容をプロが解説

自動車保険には大きく分けて5つの補償があります。
- 対人賠償
- 対物賠償
- 人身傷害
- 車両保険
- 特約
一つづつ分かりやすく解説していきます。
【自動車保険の基本補償】対人賠償責任
対人賠償保険は、自動車事故で他人に怪我をさせたり死亡させたりした場合に、その損害賠償金を補償するための補償です。
自動車事故により発生する医療費や慰謝料、休業損害などの賠償金は高額になることが多く、個人で全額を支払うのは非常に大変です。
警察庁のデータによると、2022年には約30万件の交通事故が発生しており、対人賠償保険の平均支払額は約500万円に達しています。
参考データ:公益財団法人 交通事故総合分析センター
実際に発生した事故のケースでは、
分類 | 事故内容 | 損害賠償金額 |
---|---|---|
高度傷害 | 信号無視で交差点に侵入して歩行者と衝突し、脊椎損傷を負わせた | 1億円 |
死亡事故 | 速度超過で走行中に歩行者と接触して死亡させてしまった | 7,000万円 |
対人賠償保険に加入していれば、これらの高額な費用を保険でカバーでき、被害者への賠償を確実に行えます。
ですので、対人賠償責任は自動車保険の中でも絶対に必要な補償です。
【自動車保険の基本補償】対物賠償責任
対物賠償保険は、自動車事故で他人の財物に損害を与えた場合、その修理費用や賠償金を補償するための補償です。
自動車事故は車両だけでなく、建物や設備など多様な財物に損害を与える可能性があり、その賠償額は非常に高額になることがあり、警察庁のデータによると、対物賠償保険の平均支払額は約100万円にもなります。
分類 | 事故内容 | 損害賠償金額 |
---|---|---|
車両損害 | バックで走行中に隣に停車中の高級車と接触して破損 | 1,000万円 |
施設損害 | ブレーキの踏み間違いで商業施設に突っ込んでしまう | 3,000万円 |
対物賠償保険は、自動車事故による他人の財物への損害賠償を補償し、個人の経済的負担を軽減するために必要な補償となります。
【自動車保険の基本補償】人身傷害保険
人身傷害保険は、自動車事故で自分や同乗者が怪我をした場合に、その治療費や休業補償、慰謝料などを補償するための補償です。
自動車事故は重傷を負う可能性が高く、治療費やリハビリ費用、休業による収入減少などで多額の費用が発生します。
例えば、自動車事故で重傷を負い長期入院が必要になった場合、治療費やリハビリ費用、休業補償などで数百万円の費用が発生することがありますが、人身傷害保険に加入していれば、これらの費用を保険でカバーできます。
したがって、人身傷害保険は、自動車事故で負傷した際の経済的負担を軽減し、治療に専念できるようにするために必要な補償となります。
【自動車保険の基本補償】車両保険
車両保険は、自動車事故や盗難、自然災害などによって自分の車に損害が発生した場合に、その修理費用や買い替え費用を補償するための補償です。
自動車は高価な資産であり、修理費用や買い替え費用は非常に高額になることがあります。
損害保険協会のデータによると、車両保険の平均支払額は数十万円から数百万円に及びます。
例えば、大規模な事故で自分の車が全損した場合、その修理費用や新しい車の購入費用が数百万円に達することがありますが、車両保険に加入していれば、これらの高額な費用を保険でカバーできます。
その加入方法も下記のように2つあります。
- 自損事故を含む補償
- 自損事故を含まない補償
一つづつ分かりやすく解説します。
自損事故を含む車両保険
自分自身の過失による単独事故、例えば電柱にぶつかったり、ガードレールに衝突したりした場合の修理費用も補償対象となります。
自損事故を含まない車両保険
他の車両や物との接触事故、盗難、自然災害などによる損害のみをカバーし、自分の過失による単独事故は補償されません。
自損事故を含む補償は保険料が高くなる傾向がありますが、自分の過失による損害もカバーできるため、より安心して運転できるメリットがあります。
自損事故を含まない補償は保険料を抑えたい場合に適していますが、自分の過失による損害には備えが必要です。
どちらを選ぶかは、個々のリスクに対する考え方や予算によって決まりますが、大切な愛車に万が一があった際に、保険でカバーが出来る車両保険の加入をオススメします。
【自動車保険の基本補償】特約
自動車保険には様々な特約を付帯できます。
特にプロとしてお勧めの特約が下記の特約です。
- ロードサービス
- 弁護士費用特約
- 個人賠償責任特約
上記の3つの自動車保険の特約付帯をおすすめしています。
では一つづつ分かりやすく説明します。
ロードサービス特約
自動車を運転していると、
- 車が故障して走行できなくなった
- バッテリーが上がった
- 事故にあいレッカー移動が必要になった
といった自分では解消できない困難なケースが発生します。
例えば、深夜に高速道路で車が故障した場合でも、ロードサービス特約があればすぐに助けを呼べ、安心感を得れます。
自動車保険のロードサービス特約を付帯しておけば、予期しないトラブルに迅速に対処できますので、安心してカーライフを楽しめます。
弁護士費用特約
交通事故の際に法的な問題が発生した場合の弁護士費用をカバーします。
事故後の交渉や訴訟は専門的な知識が必要であり、弁護士のサポートを受けることで、より有利に解決できる可能性が高まります。
例えば、事故の相手方と賠償問題で揉めた場合、個人で相手方の保険会社や弁護士と交渉するのは、知識や経験がないため、不利な状況になります。
自動車保険の弁護士費用特約があれば弁護士を立てる費用を補填いたしますので、悩むことなく弁護士を用意でき、スムーズに交渉が進みますので、必須の特約です。
個人賠償責任特約
自動車事故以外の日常生活で他人に損害を与えた場合の賠償責任をカバーします。
- 自転車で他人に怪我をさせてしまった
- 自宅の窓から落ちた物で他人の車に損害を与えてしまった
- 駅のホームで物を落としてしまい、電車を止めてしまった
といったことで、高額な賠償請求をされることがあります。
自動車保険の個人賠償責任補償をつけておくと、予期せぬ高額な賠償金の支払いを回避でき、経済的なリスクを軽減できます。
以上の特約は、ドライバーの安心と安全をサポートし、予期しないトラブルや法的問題、賠償責任から身を守るために非常に有用ですので、3つの特約を付帯することをオススメします。
自動車保険の保険料削減のための具体的な方法

自動車保険の補償をしっかり準備することで安心感を得ることが出来ますが、補償が手厚くなることで保険料も増えることとなります。
しかし、保険料が高額になるのはこまります。
そこで、保険料と補償範囲のバランスが重要です。適切なバランスを見つけることで、過剰な支出を避けつつ必要な補償を確保できます。
保険料を見直すポイントは3つあります。
- 補償内容の見直し
- 保険会社の見直し
- 契約条件の見直し
上記のポイントを見直すことで、保険料の削減につながります。
では、一つづつ順番に説明します。
自動車保険の補償内容の見直し
自動車保険の保険料と補償範囲のバランスはとても重要です。適切なバランスを見つけることで、過剰な支出を避けつつ必要な補償を確保できます。
保険料が安い場合、補償範囲が限定され、事故やトラブルが発生した際に十分な補償が受けられないリスクがあります。
一方、高額な保険料を支払っても、実際には利用する機会の少ない補償が含まれていることもあります。
また、他のサービスで補償が重複してしまう可能性もあります。
気を付けるべきポイントは下記の3つです。
- ロードサービスの重複
- 車両保険の見直し
- 個人賠償責任の重複
では、順番に解説していきます。
ロードサービスの重複に注意する
ロードサービスで有名なサービスだと、JAFがあります。
このサービスに加入している場合、保険会社のロードサービスと同様のサービスを受けられます。
加入している場合は、ロードサービスの特約を外してもよいかもしれません。
車両保険の見直しに注意する
自動車は製造されてから年々価値(時価額)が下がっていきます。
製造されてから5年10年と経過すると、保険会社の補償額も下がっていくため、万が一事故が発生した際に満足いく保険金を受け取れない可能性があります。
また、年に数回しか車を使用しない場合、高額な車両保険を付ける必要は低いかもしれません。
個人賠償責任の重複に注意する
個人賠償責任特約を付帯出来る保険は多くあり、自転車保険や火災保険や傷害保険です。
個人賠償責任特約を複数付帯することで、補償額の上限が加算されていくのですが、過剰に用意する必要はないかもしれません。
また、同居の親族(別居の未婚の子)が加入していることで家族全員が守られます。
知らぬ間に家族で重複して加入していた、ということもあります。
なので、家族の皆さんでどの保険に加入するか、一度整理し、適切に加入することをオススメします。
このように、自分の運転状況やリスクに応じた補償を選ぶことが重要です。適切なバランスを見つけることで、無駄な出費を抑えつつ、安心して車を利用できる保険を選べます。
保険会社の見直しの方法をプロが解説

自動車保険の取り扱いがある保険会社は国内に数十社あります。
大きく分けると下記の2種類の保険会社があります。
- 代理店型(対面型)
- 通販型(ダイレクト型)
何が違うのか分かりにくいと思いますので、詳しく解説します。
代理店型(対面型)
代理店型の自動車保険は、保険代理店の担当者を通じて加入する方法です。
保険代理店の担当者が直接対応してくれるため、対面での相談や契約が可能です。
保険の仕組みや自分に合ったプランについて詳しく説明を受けながら、納得して契約できます。
また、事故発生時には、代理店の担当者がサポートを提供し、手続きを代行してくれることが多いです。個々のニーズに合わせた細やかな対応が期待できるため、初めて自動車保険に加入する方や、複雑な補償内容を必要とする方に向いています。
通販型(ダイレクト型)
通販型の自動車保険は、インターネットや電話を通じて直接保険会社と契約する方法です。
この方法では、保険代理店を介さずに直接保険会社と契約するため、中間コストがかからず保険料が比較的安くなる傾向があります。
手続きは主にオンラインで完結し、24時間いつでも加入手続きができる利便性があります。
契約内容を自分で調べて選ぶ必要があるため、ある程度の保険知識が求められますが、シンプルでわかりやすいプランを選ぶ方には適しています。
事故時の対応も、電話やネットを通じて行うことが多く、迅速な手続きを希望する方に向いています。
それぞれの加入経路にはメリットとデメリットがあるため、自分のニーズやライフスタイルに合わせて選ぶことが重要です。
自動車保険に不慣れな方は、相談しながら加入を行い、万が一の事故の際には寄り添ってサポートしてくれる代理店型をオススメします。
自動車保険の契約条件の見直しをプロが解説

自動車保険の契約条件を見直すことで、保険料を節約できます。
以下の契約条件を確認して、見直しを検討してみてください。
- 年齢条件
- 運転者条件
- ゴールド免許割引
- 複数車両割引
上記の条件を見直すことで保険料を削減できるかもしれません。
見直す際のポイントを解説します。
年齢条件の確認
自動車保険の年齢条件は、契約者や運転者の年齢によって保険料が変動する要素です。
保険会社は若年層の運転者に対してリスクが高いと判断し、保険料が高く設定されることが多いです。
しかし、一定の年齢を超えると保険料が安くなるため、契約者や運転者の年齢条件を確認し、必要に応じて変更することで保険料を節約できます。
運転者条件の見直し
例えば、契約者本人のみや家族限定とすることで、他人が運転するリスクを減らし、保険料を抑えられます。
運転者を限定することでリスクが減少するため、この割引を活用することで保険料の節約が可能です。
ゴールド免許割引
ゴールド免許を持つドライバーは、無事故・無違反の証であるため、保険会社からリスクが低いと見なされ、保険料の割引が適用されます。
ゴールド免許を取得した場合は、その情報を保険会社に伝え、割引が適用されるようにしましょう。
ゴールド免許割引により、保険料が大幅に減額されることがあります。
複数車両割引
複数の車両を所有している場合、同じ保険会社でまとめて契約することで割引が適用されることがあります。
複数車両割引を活用することで、個別に契約するよりも総合的に保険料を抑えられます。家族で複数の車を所有している場合や、個人で複数の車を所有している場合は、この割引を利用することで経済的なメリットが得られます。
これらのポイントを見直し、最適な契約条件を設定することで、自動車保険の保険料を節約しつつ、適切な補償を受けられます。
自動車保険の賢い選び方:まとめ
まずは現在加入している自動車保険をしっかり確認し、補償内容と保険料を理解しましょう。
とはいえ、保険というのはとても難しいです。1から理解するのは難しいでしょう。
保険証券の内容を見て、補償内容が適切かどうかわからないというという方は、保険のプロである弊社までお問合せください。