法人保険の保険料が高い理由を保険のプロが徹底解説

法人保険の保険料が高い理由を保険のプロが徹底解説

法人保険の見積りを見て、思ったより高くて止まってしまう人は多いです。

ただ、保険料が高い原因は、法人だからではなく、目的と設計が噛み合っていないことがほとんどです。

貯蓄性を盛りすぎているのか、保障額が過大なのか、税務処理の前提がズレているのか。

この記事では、保険料が決まる仕組みから、高くなりやすい典型パターン、具体的な見直し手順まで整理します。

高いまま入るべきケースと避けたいケースも分かるようになります。

この記事を3行で解説
  • 法人保険が高いのは、設計が目的とズレていることが多いです。
  • 保険料は年齢・保障額・貯蓄性に加え、税務処理の見え方でも重く感じます。
  • 目的を絞り、必要保障額と税務込みで見直すと適正化できます。
記事の筆者
保険アドバイザー

【保険コンサルタント:長谷川】
保有資格

  • 損害保険募集人資格
  • 生命保険募集人資格
  • 損害保険大学課程資格
  • FP2級

保険業界歴12年、火災保険取扱件数2,000件、保険金の請求対応の顧客満足度98%

目次

法人保険の保険料が高く感じる結論

これから法人保険の保険料が高く感じる結論について解説します。

  • 高いのは保険が悪いより、設計が目的とズレていることが多い
  • 高いかどうかは、月額ではなく目的達成コストで判断する

高いのは保険が悪いより、設計が目的とズレていることが多い

法人保険が高いと感じる最大の原因は、保険そのものより、設計が目的と噛み合っていないことです。

法人保険は、社長や役員に万が一があったときの資金確保、退職金準備、福利厚生、借入の返済原資など、会社の目的に合わせて自由度高く組めます。

自由度が高いぶん、必要以上に貯蓄性や特約を盛りやすく、結果として月額が膨らみやすいです。

実際に相談で多いのが、税金が減ると聞いて入ったものの、資金繰りが苦しくなって焦るケースです。

毎月の支払いが大きいとキャッシュフローを悪化させる可能性がある点は、法人保険の典型的な注意点として整理されています。

つまり、高いかどうかの前に、今の設計が何を守るためのコストなのかを言語化できるかが最初の分かれ道になります。

最後はシンプルで、目的が言えない保険は高く感じます。

目的が言える保険は、高くても納得できます。

高いかどうかは、月額ではなく目的達成コストで判断する

法人保険は、月額だけで判断すると失敗しやすいです。

見るべきは、目的を達成するための必要資金に対して、どれくらい効率よく準備できているかです。

たとえば、社長に万が一があったとき、会社が困るのは次のような資金です。

  • 運転資金の穴埋め
  • 借入返済の原資
  • 採用や引き継ぎに必要なコスト
  • 取引条件の悪化に備える資金

ここをカバーできる保険金額なら、月額が高くても合理的なことがあります。

逆に、目的が曖昧なまま月額だけを下げると、いざというときに守りたいものが守れません。

高いか安いかは、目的が定まった後に決めるのが順番として正解です。

保険料そのものが決まる仕組み

これから保険料そのものが決まる仕組みについて解説します。

  • 保険料は3つの予定率で決まる
  • 金利環境と運用前提で、同じ保障でも差が出る
  • 保障額・保険期間・払込期間で月額が変わる

保険料は3つの予定率で決まる

保険料は、ざっくり言うと助け合いの仕組みを数字で設計したものです。

生命保険協会の解説では、保険料は予定死亡率・予定利率・予定事業費率の3つの予定率をもとに計算されると整理されています。

つまり、こういうことです。

  • 亡くなる確率が高いほど、必要な保険料が上がる
  • 運用で増やせる前提が強いほど、必要な保険料が下がる
  • 事務コストがかかるほど、必要な保険料が上がる

法人保険だけ特別に高いというより、被保険者の条件と設計で保険料が決まります。

法人契約は保障額が大きくなりやすいので、高く見えることが多いです。

金利環境と運用前提で、同じ保障でも差が出る

貯蓄型や返戻金が出るタイプは、運用前提の影響を受けます。

同じ保障内容でも、運用の前提が変わると、必要な保険料が変わります。

現場感としては、返戻金があるプランほど月額が上がりやすいです。

掛け捨ては守りに特化しているぶん、月額は抑えやすいです。

退職金準備や資金の積立まで同時にやろうとすると、保険料が上がるのは自然です。

保障額・保険期間・払込期間で月額が変わる

月額の上下は、設計のつまみでだいたい説明できます。

  • 保障額が大きいほど月額が上がる
  • 保険期間が長いほど、総額が大きくなりやすい
  • 払込期間を短くすると、月額が上がりやすい

法人保険で保険料が高いときは、だいたいこのどれかが過剰です。

よくあるのが、必要保障額の根拠がないまま、なんとなく大きめにしているパターンです。

ここを直すだけで、体感の負担は大きく下がります。

法人保険で高くなりやすい典型パターン

これから法人保険で高くなりやすい典型パターンについて解説します。

  • 掛け捨てではなく貯蓄性を持たせている
  • 役員・キーマンの年齢が高い
  • 保障額を大きくしすぎている
  • 特約を積みすぎている
  • 退職金・事業承継など複数目的を1本に詰め込んでいる

掛け捨てではなく貯蓄性を持たせている

返戻金がある設計は、どうしても保険料が上がります。

払った保険料の一部が、将来の解約返戻金として積み上がるからです。

逓増定期保険の説明では、若い時期の保険金額を小さくするなどの設計で、死亡保険金の支払いに使われない余剰の保険料を生み、解約返戻金の蓄積カーブを上げる特徴があるとされています。

この仕組みを選ぶと、守りだけでなく積立要素が入るので、月額が高くなりやすいです。

退職金準備をしたい社長が、保険で一気に積み立てようとして、月額が想定以上に重くなる。

この流れはとても多いです。

貯蓄性はメリットにもデメリットにもなるので、最初に理解しておくと判断が楽になります。

役員・キーマンの年齢が高い

被保険者の年齢が上がると、一般に死亡リスクの前提が上がります。

保険料の基礎がそこにある以上、年齢が高いほど高くなりやすいです。

法人保険は、社長や役員を被保険者にするケースが多いです。

つまり、加入タイミングが遅れるほど、同じ保障でも高くなりやすいです。

入るか入らないかは別として、検討は早いほうが選択肢は増えます。

保障額を大きくしすぎている

法人保険は保障額を大きくしやすいです。

理由はシンプルで、会社のお金が止まるリスクは、個人より桁が上がることがあるからです。

ただ、見積りの時点で大きな数字を置くと、月額も当然上がります。

ここで大事なのは、保障額の根拠を言葉にすることです。

売上、粗利、人件費、借入返済額、運転資金の月数。

このあたりを簡単に置くだけで、必要保障額は現実サイズに落ち着きます。

特約を積みすぎている

特約は便利です。

便利だからこそ、積み上げると固定費になります。

よくあるのが、入院・がん・就業不能などを全部盛りして、月額が跳ねるケースです。

必要なリスクを否定する話ではなく、順番の問題です。

最初に一番守りたいリスクを1つ決めて、そこにだけ厚くする。

この考え方にすると、無駄な保険料はかなり削れます。

退職金・事業承継など複数目的を1本に詰め込んでいる

保険を1本にまとめると、管理は楽です。

一方で、目的が増えるほど、条件を満たすために設計が複雑になり、保険料も上がりやすいです。

退職金も準備したい。

万が一の運転資金も欲しい。

福利厚生にもしたい。

この全部を1つでやろうとすると、どれも中途半端になり、月額だけ高く残りやすいです。

目的が複数あるなら、保険と別の手段に分けるのも立派な最適化です。

保険は保険でしかできない部分に寄せたほうが、コスパは上がります。

税務処理が高く見せる理由

これから税務処理が高く見せる理由について解説します。

  • 損金にならない部分があると負担感が増える
  • 最高解約返戻率で資産計上が必要になる
  • 年30万円の例外など、ルールを知らないと損をする

損金にならない部分があると負担感が増える

法人保険は、保険料が全部経費になると思われがちです。

ここがズレると、体感として一気に高く感じます。

特に、返戻率が高いタイプは、支払った保険料の一部を資産計上して、すぐに損金にできないケースがあります。

国税庁の整理でも、一定条件に該当する定期保険・第三分野保険では、前払部分の考え方が出てきます。

損金で落ちる前提でキャッシュフローを組むと、思ったより税金が減らず、支払いだけ残る感覚になりがちです。

最高解約返戻率で資産計上が必要になる

2019年以降のルール見直しで、返戻率が高い保険ほど、全額損金が難しくなりました。

この変更の背景として、節税目的で利用されるスキームが問題視され、課税ルールが見直されたという説明もあります。

ここで重要なのは、税務処理が変わっても、保険料そのものが高い安いとは別問題だという点です。

ただ、手元感覚としては、損金にならないと負担が重く見えます。

だからこそ、税務込みで判断しないと、体感のギャップが出ます。

年30万円の例外など、ルールを知らないと損をする

税務ルールには例外もあります。

国税庁の説明では、最高解約返戻率が一定以下で年換算保険料相当額が被保険者1人あたり合計30万円以下の場合など、取扱いが変わるケースが示されています。

こういった条件を知らずに、なんとなく設計してしまうと、同じ目的なのに不利な処理になっていることがあります。

節税のために法人保険を選ぶというより、守るべき目的を固めた上で、税務的に損しない形に整える。

この順番のほうが安全です。

保険料を下げる現実的な見直し手順

これから保険料を下げる現実的な見直し手順について解説します。

  • まず目的を1つに絞る
  • 必要保障額をざっくり計算して上限を決める
  • 商品タイプを変えて固定費を下げる
  • 解約前提ならピーク時期と資金計画を揃える
  • 税務処理まで含めてシミュレーションする

まず目的を1つに絞る

保険料を下げたいなら、最初は商品ではなく目的を削ります。

目的が2つ以上あると、設計の都合で保険料が上がることが多いからです。

おすすめは、このどれか1つに決めることです。

  • 社長に万が一があったときの運転資金
  • 借入返済の原資
  • 退職金準備
  • 福利厚生

1つに決めると、必要保障額と保険期間が決まり、保険料は自然に落ちます。

必要保障額をざっくり計算して上限を決める

社長に万が一があったときの必要資金は、完璧でなくていいので、ざっくり出すだけで十分です。

  • 運転資金:月商の何か月分か
  • 借入返済:残債はいくらか
  • 引き継ぎ費用:採用・外注・顧問費など

ここで上限を決めると、提案される保障額が暴れなくなります。

結果として、保険料もコントロールできます。

商品タイプを変えて固定費を下げる

貯蓄性がある設計は月額が上がりやすいです。

掛け捨て寄りにすると月額は落ちやすいです。

ここは好みではなく、会社の体力で決めるのが現実的です。

弥生の解説でも、保険料が大きいとキャッシュ・フロー悪化につながり得る点がデメリットとして挙げられています。

固定費として払い続けられるかを軸にすると、判断がブレにくいです。

解約前提ならピーク時期と資金計画を揃える

解約返戻金を退職金や事業資金に使う前提なら、いつ解約するかが命です。

短期解約で元本割れしやすい点は注意として整理されています。

解約前提の設計をするなら、次の3点はセットで揃えると失敗しにくいです。

  • いつ資金が必要か
  • その時期に返戻率がどうなっているか
  • その間、保険料を払い続けても資金繰りが耐えるか

保険の中身が良くても、資金のタイミングがズレると、高い買い物に変わります。

税務処理まで含めてシミュレーションする

最後は、税務とキャッシュフローを同時に見ます。

2019年以降のルールでは、返戻率によって資産計上が必要になるケースがあるため、損金の効き方が設計で変わります。

見るべき項目はこれで十分です。

  • 年間保険料
  • 当期に損金になる額
  • 資産計上になる額
  • 解約返戻金の見込み
  • 会社の現預金推移

これを1枚で見える化できると、保険料が高いかどうかの議論が終わります。

数字で納得できるかだけになります。

高いまま入るべきケースと、避けたいケース

これから高いまま入るべきケースと、避けたいケースについて解説します。

  • 高くても合理的なケース
  • ほぼ確実に後悔しやすいケース
  • 判断に迷ったときのチェックリスト

高くても合理的なケース

月額が高くても合理的なのは、会社の致命傷を避ける設計になっているときです。

  • 社長が抜けると売上が大きく落ちるビジネス
  • 借入依存が強く、万が一の返済原資が必要
  • 重要人材の不在で取引が止まる
  • 退職金準備の手段が他に取りづらい

この場合は、高いというより、倒れないためのコストです。

保険料の仕組み自体は予定率にもとづく計算という前提があるので、必要保障が大きければ保険料が上がるのは自然です。

ほぼ確実に後悔しやすいケース

後悔しやすいのは、目的より節税が前に出ているときです。

税制改正以降、節税目的の設計は難しくなっているという整理が複数の解説で示されています。

よくある地雷はこの3つです。

  • 資金繰りの余力がないのに、貯蓄型で月額を積む
  • 解約時期が未定のまま、返戻金前提で契約する
  • 税務処理を理解せず、損金になると思い込む

資金繰り悪化のリスク自体は、法人保険のデメリットとして一般的に挙げられています。

ここに当てはまるなら、保険以前に設計を止めたほうが安全です。

判断に迷ったときのチェックリスト

最後に、迷ったときのチェックリストです。

3つ以上が当てはまるなら、保険料が高いのではなく、設計がズレている可能性が高いです。

チェック項目はい/いいえ
何のための保険かを一言で言える
必要保障額の根拠を説明できる
月額を払っても資金繰りが3年耐える
解約するなら時期が決まっている
税務処理(損金・資産計上)を把握している

ここが揃うと、保険料が高いかどうかは自然に決まります。

高くても意味があるならOKです。

意味が薄いなら、安くしても残す価値がありません。

法人の保険料が高額な理由: まとめ

法人保険の保険料が高い理由は、保険が法人向けだからではなく、設計が目的とズレていたり、貯蓄性や特約を盛りすぎたり、保障額が過大になっていることが多いです。

保険料は予定死亡率・予定利率・予定事業費率などの前提で決まり、被保険者の年齢や保障額で上がります。

さらに2019年以降は返戻率によって資産計上が必要になり、損金にならない分だけ負担感が増えがちです。

目的を1つに絞り、必要保障額を計算し、税務とキャッシュフロー込みで見直すのが近道です。

この記事のポイント
  • 保険料は仕組み上、年齢・保障額・貯蓄性で上がりやすい
  • 税務ルールで損金にならない部分があると高く感じやすい
  • 目的を絞り、必要保障額の根拠を作ると無駄が削れます。
  • 資金繰りを圧迫する設計は避けるべきです。

法人の保険料が高額な理由: よくある質問

法人保険は法人で入るから個人より高いのですか。

法人だから自動的に高いわけではありません。保険料は予定率にもとづく計算で、年齢・保障額・保険期間・貯蓄性などの設計で上下します。法人は必要保障額が大きくなりやすいので、高く見えやすいです。

保険料が高いのに、節税にならないと感じます。なぜですか。

返戻率が高いタイプは、税務上、支払保険料の一部を資産計上して、すぐに損金にできないケースがあります。2019年以降のルールでこの傾向が強まり、節税目的だけで組むとギャップが出やすいです。

いちばん簡単に保険料を下げる方法は何ですか。

目的を1つに絞り、必要保障額の上限を決め、貯蓄性や特約を整理することです。月額だけを下げるより、目的達成に必要なコストに戻すほうが失敗しません。資金繰りに影響が出る設計は特に注意が必要です。

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